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ゲヘナのkeeper7のレビュー・感想・評価

ゲヘナ(2016年製作の映画)
2.3
クラウドファンディングを行っていた時から注目、やっと鑑賞。

何故気にしていたかというと、あまり表に出てこなかったハリウッドで活躍する日本人特殊メイク、造形アーティストである片桐裕司氏が初監督を務める作品だったから。

氏は10代で渡米し、同じく当時ハリウッドで活躍していた日本人特殊メイクアーティストのスクリーミングマッドジョージ氏に師事しその後着実に経験と技術を積んで大作作品などに関わっていく。
やや失礼なものいいであり推測ではあるが片桐氏が手がけたものなど拝見する限り、もともと器用な訳でもなく得意な事だからこの道へ行きたいんだ!ではなかった様に思う。
しかし氏は努力の人で、自分に才能がないと思いつつも決して諦めず30年間やり続け技術をモノにし今や彫刻セミナーで講師も行っている。
グイグイ前にでる方ではない自分も氏のインタビューを読んで身の丈にあったものの考え方や挫折経験など、それらを読む限りタイプが似ていて非常に共感した。

作品だが、完成前に色々あって苦労したとあったが日本人としてメイクアーティストとしての人脈を活用し、ここには書かないが才能のある方達が携わっていたりする。
ストーリーもバジェットを考慮してほぼ密室劇にし、自身の職業をフル活用できるホラーにしたのも懸命だ。
しかしそこは初監督作品、やはり編集や演出の未熟さがでており、グダグダした部分が内在していて全体的にモッサリ、傑作には成りえてない。

個人的には一時期乱発され飽和感があったPOV形式こそがこの作品には合っていたと思う。臨場感やスピード感が加味されてグダグダ感を払拭できたのでは?と感じた。

クオリティは安定してるが特殊メイク効果ももっと振り切ったものが見たかった。
エンタメに徹していればもう少しは良かったかもしれないがデビュー作だし作家性も、という気持ちもあり中途半端になった印象も。

好意的な評価をしても初監督作品としては可も不可ない出来と言わざるを得ない。片桐氏はきっと真面目な方なんだろうなぁ。

ランス叔父貴が興味深い役で出てたのは良かった!

次回作に期待してます!
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