なお

ハドソン川の奇跡のなおのネタバレレビュー・内容・結末

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

■映像
飛行機事故系の映画は「エアポートXXXX」シリーズのような明らかにCGと分かる、緊迫感が台無しの映像と迫力ある映像とピンキリの差が大きいですが、こちらの映像は素晴らしいです。
途中、機長の幻想のシーンまで迫力ある映像が作り込まれています。

■BGM
迫力のあるシーンでも緊迫のシーンでも流れていなかったように感じます。
その分最後のエンディングが泣かせました。

■ストーリー
てっきりリーガルサスペンスかと思いきや、ハドソン川に着水から救出までの映像が全体の半分程時間を費やされています。
ただバードストライク後208秒で着水しているため、所謂飛行機サスペンス系の映画のような緊迫感はありません。
クリントイーストウッド&トムハンクスで想像できるストーリーそのままです。
ただ静かに緊迫しています。
息をつけるような楽しいシーンや、冗談を言う笑わせるような娯楽的な所はありません。
でも、クリントイーストウッドには珍しく?後味が好いです。
(個人的にやるせない気分になる映画が多いイメージなので…)

自分の判断が正しかった事を自分で証明しないといけないとはパイロットとは厳しい世界ですね。
後からじっくり時間がある中で、色んな選択肢の中から検証してこちらの選択の方が正しかったと言うのは非常にズルい。そして、その検証を機長自身も行い、自分を攻め始めるシーンにとても辛い仕事だと感じさせました。

「人為的ミスを判断するなら人らしい判断を」

このセリフがとても効いています。

最後のエンドロールが泣かせます。実際の機長は少し厳しそうで必要な事以外は口にしない寡黙そうな背筋の伸びた素敵な印象でした。

■キャラクター
▼機長
ひとえにこの方の魅力で成り立っています。
事故の後、「あの状況下にいなかった人間に何がわかる」と開き直ったり、「最善の選択をした」と自己肯定をむやみにしない真面目で誠実な人柄に引き込まれます。

周りの方はとても等身大です。
映画によくある盲目的に機長を支えてくれる人や信じる人はいません。
皆自分の不安を抱えて個々で戦ってました。
それが現実なのかもしれませんが不満にも感じさせ、そして、機長の素晴らしさを浮き上がらせます。
なお

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