ギズモX

ハドソン川の奇跡のギズモXのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
5.0
最近、ちょっとしたミスを続けて起こしてしまった。
こういう時に非常にマズイのが、いつもなら普通にできたことがミスの連続でどうしたらいいのか分からなくなってしまい、パニックに陥ってしまうことである。
イカンイカン。
ということで、今回は身を引き締める為にもこの『ハドソン川の奇跡』を。

"ハドソン川の奇跡"USエアウェイズ1549便不時着水事故は、2009年1月15日、マンハッタンの上空を飛行中の旅客機がバードストライクによって両エンジンが停止したものの、機長の判断によってハドソン川に不時着水し、奇跡の全員生還を果たした航空事故だ。

クリントイーストウッド監督作品なら今作が個人的最高傑作。
一瞬で危機的状況に陥ってしまっても冷静さを失わず、神業的な技術と判断を駆使して窮地を切り抜けるエキスパートの極地を描きつつも、不時着水という危険なリスクを伴う選択をとった機長の決断は正しかったのか、正しいのであればそれはどうしてなのか、なぜ全員生還を果たせたのかを三度にわたる回想シーケンスや911後のニューヨークの情勢などを照らし合わせながら冷静に検証する、"誰も死ななくて良かった"で終わらせない真相究明やなぜなぜ分析な法廷劇。

生死を分けた最大の要因は機長達が経験を正しく積み重ねしていたことじゃないだろうか。
様々な経験の積み重ねとタイミングが両側のエンジンが停止という最悪の事態に何をすべきなのか、何が一番危険なのかを理解させた。
異常事態が発生した時にパニックにならずに賢明な判断が取れるよう正しい経験を積み上げとけというメッセージが感じ取れる。

今ならまだリカバリーできる、大丈夫、クヨクヨすんな。
まずは落ち着いて冷静に正しく作業しよう。
そう思わされる傑作だ。

「操縦席に乗る全ての人が情報や知識、訓練、技術、判断力を身に付けられるよう徹底する必要がある。操縦機や構成システムについて完全に把握し、飛行中の状況について同時にかつ継続的に認識できるようにするためだ」
「パイロットは突然起こる緊急事態に迅速かつ効果的に対応できるよう筋肉の働きを脳に記憶させなければならない」
「緊急事態についてiPadで読むのは十分とは程遠い。パイロットは体で直接に経験しなければならない」
チェズレイ"サリー"サレンバーガー

【追記】
現役パイロットが本作を解説する面白い動画を見つけたので是非。

https://youtu.be/hXfWU_ER3Mg?si=qmY9NNxvAVA2HxB3
ギズモX

ギズモX