空きっ腹に酒

無気力症シンドロームの空きっ腹に酒のレビュー・感想・評価

無気力症シンドローム(1989年製作の映画)
-
無気力症シンドローム。
とにかくみんなよく喋る…。それも不平不満ばかり、うるさいを通り越して不快で何度耳を塞ごうと思ったか。あんだけ好き勝手喋ってるけど、他者と通じ合っちゃいない、分かり合えてもない。ディスコミュニケーション。家族とすら取っ組み合いが始まり、深いため息ついて、頭抱えて。「愛」というものが一切排除された世界があるのなら、コレだな。と思いました。
まあしかしカオス。
やりたいことやりたい放題、ぎゅぎゅっと詰め込んでみたら、ごった煮になりました!な2時間半、正直退屈でしんどかった上に全くよく分からなかったが、頑張って最後まで観た、よくやった、わたし。当時の社会的状況が反映されてるのか、壊れかけてたのは国だけじゃないよ、人間だっておんなじだったんですよってことかな…ってたった今思うことにした。殺処分場にいる犬たち、諦めた表情や壁に背中を向けてる姿が可哀想すぎて観てられなかった。あそこで急にドキュメンタリー調、ほんと不思議な映画だ。圧倒的犬派なので、ただただしんどいシーンではあった(映画とまるで関係ないけど、動物を飼うならペットショップじゃなくて、保健所に行きましょ。うちのアイドルモモも保護犬だよ🐶)。動物の命を奪う権利も、誰かを傷つける権利も人間なんぞにないんだけどな。どこまでも身勝手な生き物で、やっぱりひとであることに時々嫌気が差す映画だった。ひとは見もしない、って台詞があったけど、映画全体に通して言えることだなあと思った。無関心が蔓延る世界。自分の意見ばかりで聴きもしない、目もくれない。駅のホームで男が突然眠り倒れても(男はもともとそういう体質だった?それともあの前半のモノクロ映画を観てたらおかしくなった?)、みんなお構いなし、見えちゃいない。殺伐とした世界ではどうしたって優しさや思いやりは芽生えにくいね。

まるでヨーグルトやプリンのように食べ進めるキャビア、ソ連ではあの食べ方がメジャーなの??3缶開けてたけど贅沢品じゃなかろうか?缶くらい嫁や義母に開けさせないで自分で開けろや。
ラストで駆け落ちするおっさんと少女、おっさんが眠りに落ちるなり、叩き起こそうとする姿のあまりの容赦なさには不謹慎ながら笑った、ひどすぎでしょ、さっきまでイチャイチャしてたのに。眠ったままのおっさんが回送車(?)で移動するラストシーンはかっこよかった。
あと、モノクロパートで、攻撃的な未亡人のそばで語られてた体の中にヘビが、の話、後半で入院してるジジイがおなじこと言ってるのは謎のつながりを感じた。どんな世界でも不安や違和感を抱えて生きてるひとはいるってこと??やっぱりよく分からないや。


(ずっと観たかった映画シリーズ。パリ、18区、夜。といい、冬の旅といい、今週は早稲田松竹さんにお世話になりました、ありがとうございました。)
空きっ腹に酒

空きっ腹に酒