Jeffrey

ルーヴル美術館訪問のJeffreyのレビュー・感想・評価

ルーヴル美術館訪問(2004年製作の映画)
3.0
「ルーヴル美術館訪問」

冒頭、ルネサス前派。パリの郊外の描写、頭部がない彫刻、大理石、殉教者、勝利の女神の翼、ミサ典書、絵画との一体、色彩と光。今、ガスケのテクストに基かれた解説が我々を誘う…本作はセザンヌが見たとされる何点の絵画、彫刻、セザンヌが見たであろう風景のショットの他、E.ヴィットリーニの未完の小説に基づくストローブ=ユイレの"労働者たち農民たち"の冒頭のショットを含むそうである。

これもセザンヌと同じガスケのテクストに基づく中編である。どうやらこの作品はミシェル・ピコリがナレーションを務めるはずだったようだが、断られてしまったそうで、その代わりにジェリー・コルタイが起用されたとのことである。彼のナレーションのリズムが非常に良くて驚く。

本作も構成台本的には、まずパノラマ(ルーブル美術館)セーヌ河の対岸からキャメラがパンされ、反対方向に戻る。そして画面が暗くなり、ルネサンス前派は嫌いだ。ジェットはよく知らない。見なければ。イタリアを駆け回るにはもう年だ。ルネサンスの前派の部屋にはまず入らない。君は勧めるが、私には絵画(パンチュール)とは思えない。チマブーエのぎこちなさ、フラ・アンジェリコの素朴さ、ウッチェッロの遠近法さえも。それらの理念の上には肉がない…とナレーションが始まる。

そして"サモトラケーの勝利の女神像"が写し出される。

そういった流れで約48分間が終わるのだが、最後のパノラマ(労働者たち、農民たち)の最初のショットと枯れ谷のせせらぎと木漏れ日の描写が何とも言えない気持ちになる。

1度もルーブル美術館に足を運んだことがないのだが、ソクーロフの作品などを見ていると、1度は行きたくなると思ってしまう。
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