マギー・チャンが本人役として主演。香港と英国をバックグラウンドに持つ彼女の教養とアクシンデント続きの現場でも狼狽えない器の広い人柄にフォーカスは当たりつつも、一緒に働いているフランス人映画クルーからは結局"エキゾチックな魅力の中国人有名女優"、オリエンタルな他者として扱われていたので本作きっかけに結婚した監督アサイヤスとの生活が3年しか続かなかったのはある意味で納得…とはいえその離婚後も一緒に仕事をしていることからも友好的な別れだったことが伺えるのはアサイヤスファンとして幸いである。黒ボンデージに身を包んだマギー・チャンのルックがアイコニックなのは言わずもがな中盤のインタビューシーンとラストの試写映像も一度見たら忘れられない。無声映画を翻案した映像に対し、台詞ありきのインタビューでは「インディペンデントなフランス映画なんてものは一部のインテリ向け」「映画監督の自己中心的な"ヘソ"にすぎない」とシーンど真ん中にいるであろうアサイヤス本人がメタ的かつ痛烈に皮肉っていたのが面白かった。笑
