えいがのおと

ボクの妻と結婚してください。のえいがのおとのレビュー・感想・評価

3.8
誰がが鼻をすする音に気がつくと、自分も鼻をすすっていることに驚く、そんな体験をする映画。

織田裕二が主演で、いかにも泣ける感じの映画。はいはい。そうですかといって足を運ばないか、逆に運ぶかの二択だと思って、期待作目白押しの、この時期ではあまりヒットしないだろうと思っていた。割引料金の日なので、何か一本と思うも、予定がこの映画しか合わなかったので、まあいいかと観たのだが、想定内の展開に、想定外に感動する作品だった。
織田裕二が演じる旦那は、わかりやすいほどにど真ん中で生き続けるから、臭いといえば臭いのだけど、ああいった状況になった人間は、現実でも皆ああいった臭いことを言いだしたりする。そういった意味で、下手に洒落た演技をして泣かそうとする作品に比べ、ストレートに感動させる力があった。
特に、後半の展開は、明らかにオチが予想できてしまうのだが、その予想できる、予定調和感な優しさが、逆に心を動かすから不思議だ。
お昼の劇場で、観に来ている人の年齢層も性別もまばらだったが、至る所で鼻をすする音が聞こえたのが印象深い。自分も素直に涙していたから、それこそ浄化される映画だったのだろう。
あれほど、盲目的に家族を愛せれれば幸せだ。