アニマル泉

ヨーロッパ2005年、10月27日のアニマル泉のレビュー・感想・評価

ヨーロッパ2005年、10月27日(2006年製作の映画)
4.0
ストローブ=ユイレの初めてのデジタル撮影による短編。12分。イタリア放送教会(RAI)が委嘱した。「2005年パリ郊外暴動事件」の発端となった、北アフリカ出身の若者2人が警察に追われて感電死した事件を描く。事件の現場となったクリシー=ス=ポワの変電所の実景2カットのみだ。最初のカット、桜の木だろうか、花咲く下の壁に「やめろ!命をあやめるな」の看板が掲げられている、カメラは右にパン、変電所の門が現れる、もう一つの看板「電気は人よりも強い」が掲げられている、さらにパンして建物が現れてカット。次のカットは、別アングル建物と看板遠景、今度は左へパン、犬が吠える声が響く、柵と建物、パンが終わり「ガス室と電気椅子」とテロップされる。そしてブラックになり、数字の「2」、タイトルが出る。以上が数字が「5」になるまで5回繰り返される。微妙にカットじり、犬の吠え方、テロップをだぶるタイミングがズレる。ストローブ=ユイレがワンフレームにこだわって編集する姿を彷彿とさせる。本作も「傷だらけの土地」「血と土地」がテーマだ。「記憶とは?」を考えさせられた。
アニマル泉

アニマル泉