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ジャン・ブリカールの道程のtaのレビュー・感想・評価

ジャン・ブリカールの道程(2008年製作の映画)
4.7
前半、観るドローンみたいでCM van Hausswolff『Squared』を想起させるような体験だなとか考えていたらだんだんボートと水の音がEditions Megoの作品に聴こえてきた。



ある個人とそれを取り巻く政治の歴史を、その記憶が閉じ込められた土地を通じて提示するこの作品。例えばプルーストにおいて、土地の名というものはそこから多様なイメージや記憶が湧き出すような場であったが、映像の場合はどうなのか、という問い。その答えのようなものは水が暗示してくれる。
《見させる⇔見せられる》という映画の暴力性を逆手に取りながら、語り以上の「何か」を画面上に探ることを強制する—その「何か」はぼんやりとではあれ確かに立ち上ってくるようにも思えるし、いやむしろそんなものは何もないのだ、というふうにも思えてくる。
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