梵

リップヴァンウィンクルの花嫁の梵のレビュー・感想・評価

4.0
綾野剛さんのファンの為、何度か鑑賞。

黒木華さん演じる皆川七海の誕生日にいつも公式が盛り上がったり、再上映が行われたりする理由が分かります。どこか愛しくて切なくて儚くて大事にしたい物語。

綾野剛さん演じる何でも屋である安室行升に出会った事で七海の人生は色々な方向へ転がっていきますが、何といってもCoccoさん演じる里中真白が良い意味で期待を裏切ってきます。黒木華さんの艶やかで美しい透明感と、Coccoさんの強く逞しくもありながら女性としての弱さがどこか感じられるお二人に観ている内に惹き込まれていきます。

この作品で初めて結婚式の代理出席というものの存在を知り、結婚式で行われる新郎と新婦の幼少期から現在までの流れを知らない他人が劇風で演じる事があるという事を知りました。私が新郎/新婦の親だったら自分の子どもでもない見ず知らずの子から、ありがとうなんて言われても泣けないなあと思いながらこのシーンは観ていました。

特に話に凄く大きな展開もある訳ではなく2時間近く淡々と静かに進んでいきますが、不思議と飽きる事は一切ありませんでした。それもこれもキャストの方のナチュラルな演技の影響なのか岩井俊二監督の才能なのか分かりませんが、とても中毒性があります。ふとした時に、観たいな、また触れたいな、と感じる作品です。

原作は未読なので、読了した上でまた鑑賞したいと思います。
梵