こーた

リップヴァンウィンクルの花嫁のこーたのレビュー・感想・評価

3.9
岩井俊二が送る東京の不思議な一面を極端に、でも自然に描いた作品。東京にはいろんな事情な人が集まっていて、希望を叶える仕事がありますよね。
前半は黒木華の平凡な日常。ネットが友達、旦那が本当に好きかも分からない。これでいいのかと思いつつ流される人生。そんな彼女が結婚式で呼んだ親族代行サービスで知り合った綾野剛との出会いをきっかけに、一気に人生が奇想天外になっていく。彼は彼女の日常を破壊したが、同時に救済もした。かけがえのない親友と、前を向いて生きる意志を与えた。
脚本(設定)がよく考えたなあと唸らされる。序盤の展開はよくある詐欺師モノかと思わせるが、浮気騒動から離婚・旅館でのアルバイト・偽家族の演技・豪邸のメイド・AV女優との同棲と次々と変わる展開に惹きつけられる。クラシック音楽やらクラゲと相まって東京なんだけどどこかファンタジーな様相を感じさせる。登場人物もどこかズレていて、特に黒木華の幸薄さとエンディングの多幸感の対比は心地よい余韻を与えてくれます。
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