結局カレー

リップヴァンウィンクルの花嫁の結局カレーのレビュー・感想・評価

3.8
キリエのうた公開にあたってYouTube上で開催されてる岩井俊二映画祭で1週間の限定配信中の本作。花とアリス以来12年ぶりの実写長編作品だったらしい。花とアリスは瑞々しくてまだまだ子どもで、先輩に振り向いてほしくて無茶な嘘ついたり夢を追いかけるのに精一杯だったり、青春を過ごす甘酸っぱい2人だった。

本作でも2人の女性の友情が描かれるけどその姿はまるで違う。七海はネットで買い物をするみたいにお見合いサイトであっさりと結婚相手を見つけて、夢見てた職業についても上手くいかず結婚と両立が難しいと言い訳して簡単に自ら手放してしまう。人生のメインイベントが淡々と過ぎ去って取り繕ったものは簡単に崩れてく、現実がシビアで結構ダメージでかい。受難続きの彼女は怒りにも悲しみにもどこか鈍くて、押されれば押されたぶんだけハミ出てしまう不器用さがツラさに拍車をかける。夫の浮気を知ってあちゃーと、ハメられて離婚に追いやられてもくそーとしか言えない七海のこと嫌いじゃないんだけどね。そこで出会った真白というもう1人の女性。ハツラツとしているようで影のある掴みどころのない真白。愛に溢れた1日の終わりに幸せの限界について話す彼女の気持ちが少しわかる気がして泣けたな。この世界は本当は幸せだらけだから、その幸せをちゃんと受け取るにはお金がいくらあっても足りないのだ。優しいとかじゃなくて自己防衛。なんかね、わかった気になっちゃった。幸せって怖いよね。

ランバラルの友達なんで。どこまでもサービス満点、ガンダムのキャラがニックネームの友人、、、っておいお前の名前安室じゃないか!と後になって気づいたり。1000万円の報酬のため、SNSで引きずり落とせそうな人間探して落っことすの新手のホラーか。全ては安室の手のひらの上の災難だったはずなんだけど、最後の七海は晴れやかで清々しい顔してた。あ、そういや本当に強い人って意外とこういう人間だったりするなって思い出した。
葬式で泣いてくれる人たちがいて、母親は何とも滑稽な姿で悼んでた。最後ぐらいその優しさを真白が手放しに受け取れますように、きっと難しいだろうけど。