kumakuma

リップヴァンウィンクルの花嫁のkumakumaのレビュー・感想・評価

3.9
ネットで買い物をするようにあっさり手に入った結婚はあまりにもあっさり壊れ、偶然見つけた愛は儚く消えた。それでも彼女は生きてゆく。

岩井俊二監督「キリエのうた」にあわせてYouTubeで限定公開されていたので観てみました。

主人公の七海(黒木華)はおどおどして声も小さく意見がはっきり言えない弱気な女性。お見合いサイトで彼と出会い結婚も、義母による嫌がらせで離婚、職も失いどん底へ。

そこで彼女に手を差し伸べたのが、何でも屋の安室(綾野剛)で他人の結婚式への代理出席のバイトを紹介される。そこで真白(Cocco)と出会う。次のメイドの仕事でも真白と住み込みで一緒に働き彼女とどんどん距離が近づき、仲良くなっていく。しかし真白には七海に隠していることが、、、


ただ絶望から立ち上がるサクセスストーリーではなく、普通に生きて普通の幸せに過ごすも、どんどん変わっていく人生と彼女自身の変化をみていった。
七海はなにを考えているのか、それとも何も考えてないのか掴みどころのないダメそうな人であったが、そのなんとも言えない雰囲気が黒木華さんにピッタリすぎた。
ダメそうな彼女ではあったがオンライン授業をしている生徒のカノンさんにはたった一人の信頼できる先生だった。きっと七海はいい教師になると思えた。
奇妙な存在の安室が彼女を助けているような、貶めている様な不思議なキャラであったり、そして真白を演じたCoccoの存在感が素晴らしかった。

この独特なキャラ達や人間模様を織り交ぜた岩井監督らしいエモい作品であった。
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