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リップヴァンウィンクルの花嫁のVisorRobotのレビュー・感想・評価

3.8
2時間バージョンを、公式YouTubeで見た。家でみたし、スマホもいじりながらだった。

はじめての岩井俊二だった。何となく、苦手な気がして、敬遠、というほどでもないが手を出してこなかった。長いし。

結果としてはそんなに苦手でもなかった。何が苦手っぽいと思っていたかといえば雰囲気映画感なのだが、カットの切り替わりも早いし、登場人物のやり取りには卑近さやあるあるが演出されているし、雰囲気以外の手触りが確かにある。黒木華のバカでぼんやりした未成熟感も魅力的で、綾野剛のキャラクターもひょうひょうとしていながら、納得のいく体の張り方をしていて(旅館で土下座して勢いで退職を進めるとか)よかった。

ただ、中身はあるが、内容はなかった。宝箱の中には宝物がいっぱいあるのだが、本当に市に出して値が付くようないわゆる価値があるのかというと・・・??

とはいえ、宝箱の本質は明けたときのわくわくした気持ちであって、パーティが終わった後に何か持ち帰りたいなんて考えている方が無粋で、映画のことなんか好きじゃなくて、クイズ番組で難読漢字でも覚えとけば!という感じもする。

ウェディング姿の二人の花嫁が赤い高級車で帰路につくシーンは、さすがに漫画家を目指していただけあって、スケールの大きすぎない画の魅力があったよなあと思う。それに引き換え、真白さんの実家はよくなかったな(急に「親子の後悔」みたいな即席の内容を吐き出そうとした展開も含めて)。
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