ピト

リップヴァンウィンクルの花嫁のピトのレビュー・感想・評価

4.3
スワローテイルもラブレターも観たことない、それこそリリイシュシュ以来10年位ぶりに観る岩井俊二作品。

リリイシュシュは好きだったけど、それ以来なんとなく遠ざかってて、今作も180分あると聞いてマジかよ〜!と観るのためらってたけど見始めたらあっという間でした。
役者の演技力と画の力で観てる方を飽きさせない。
ホラーでもアクションでもないのに飽きずに観れてしまった…


黒木華の出演作ってドラマも含めて殆ど観た事なかったけど、すごい魅力的でビックリしました。

役柄的にめちゃくちゃ鈍臭くてイライラもするんだけど、ある種ファンダジーなストーリーの中で自然な実在感を表現してて、演技なのか彼女自身から溢れる物なのか分からないけど、魅きつけられて目が離せなかったです。


対する綾野剛もとても良くて、あの嘘くさいアハハハって笑い方とか最高で、内面が全く見えてこない絶妙な不実在感が出てて難しい役柄を上手にこなしていたと思います。

これ役者次第では非常に危険な役どころで、一歩間違うと作品内から浮きまくっちゃうと思うんで、絶妙なキャスティングだなと思いました。
例の号泣シーンとか、不自然だけどこいつならあり得るかもと思えて、少しだけ内面を垣間見えた気にさせられるとても良いシーンと演技でした。

最初は教壇で小さな声しか出せなかった黒木華が、最後はトラックで走り去る綾野剛を大声で礼を言って見送る。
ふわふわと流され続けるだけだった主人公の成長を感じられる爽やかな終わり方でした。


なんだか普通な感想になっちゃったけど、普通にいい作品で観て良かったなと思いました。
ピト

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