喜連川風連

リップヴァンウィンクルの花嫁の喜連川風連のレビュー・感想・評価

4.0
初対面の男女の会話。
飲み会の後の別れがたい雰囲気。
じんわりと物語に入り込める。

彩る淡い色調と、ピアノの旋律に岩井美学を感じる。

インターネットが張り巡らされていく中で、それを利用する者と人と人との問い面による関係を大事にする者に落ち着く。

この人の考察が面白かった。
http://hiramashin.hatenablog.jp/entry/2016/04/03/225446

今まで堅牢だと思われていた価値観が実はもうまったく機能しておらず、固いはずだった地面は実は穴ぼこだらけでうっかり足を踏み外したら転げ落ちてしまうようなつくりだった。家族の在り方だったり、職業観だったり、従来の支配的な価値は表向きだけの張りぼてになっていた。結婚披露宴で繰り広げられるうさん臭さはそれを示すものと考えます。

旧来大事にされていた価値は表向きを取り繕うことしかできていない。内実はすかすかの状態だった。固いと思っていた地面が一瞬にして歪んでしまった震災と原発の問題が重ね合わされていると考えます。
喜連川風連

喜連川風連