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おお至高の光のooospemのレビュー・感想・評価

おお至高の光(2009年製作の映画)
4.3
楽譜なんてものは存在しないんじゃないのか、感覚的でありながらなぜか違和感のない不協和音。人間こういう無意識的なまとまりのなさってあるよね、と腑に落ちる。そんな重奏音楽から始まりぱっと映像が出て、あっ音が吸い込まれた!と思ったら、訥々と語られ始めるダンテ神曲、天獄篇最終第33章。
これを見ていてわたしは思い出した。以前大学の課題で2、3分ほどの映像を撮ったとき、映像科の講師に《あなたの作品は言葉が先にあって、映像が後付けされている。映像というのはもっと感覚的なもの》などと講評を受けたことを。さて、これを見てるとそうとも限らなそうだ。ジャン=マリー・ストローブ監督作品は初めて観たけれど、彼女は言葉の非力さ、儚さを痛感していながらそれを嘆かずにはいられない、そういう感覚で映像を撮る人なんじゃないかと…(《わたしの言葉は乳を吸う赤子のそれより稚拙だ!》)。

そんなエネルギーを漠然と浴びていたら、あっという間に終わってしまった。
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