リラリオ

アラビアン・ナイト 第3部 魅了された人々のリラリオのレビュー・感想・評価

3.7
経済危機で混迷するポルトガルをドキュメンタリーと「千夜一夜物語」をモチーフにしたフィクションで混ぜ合わせ描いた映画「アラビアンナイト」3部作。

シェヘラザードが王に嫁ぎ515日。彼女の父で大臣の寝室に妻の亡霊が現る。大臣は亡霊に語りかける。「正気を失った王は、いずれまた血を求める。いかに賢い娘でも王の気を引き続けることはできまい…」
これは「千夜一夜物語」の構成を借りた全く別の物語。夜話は2013〜14年のポルトガル事情に基づくフィクションである。
「やべぇ…夜話飽き始めてるじゃん…こりゃ近々殺される…」物憂いのシェヘラザード→王宮を飛び出す→イケメンで繁殖力が超絶やべぇパドルマンという櫂かきの男に出会いメロメロになる→「お前との子供が欲しい!」→顔だけの頭の悪い男だと気づき一気に冷める→お別れ→ブレイクダンスを踊るエルヴィスという海賊に出会う→風の精霊に出くわしウザ絡みされる→シンドバッドのランプを海にポイ捨て→幻の花→ポイ捨て→家族会議の呼び出し→「夜話が思いつかねぇ…」→大臣「キツネのように賢くなれ!王宮に戻りやるべきことを!」→王宮に戻るシェヘラザード。

「第515~521夜 ズアオアトリの麗しき歌声」
ズアオアトリを捕獲、調教し歌声を競うコンテストに情熱を燃やす鳥飼いの男たちの話。
鳥に歌を教えるプロのヘビメタ男、捕獲名人のオッサンとその弟子、鳥を全て盗まれショックで3日間食事が喉を通らなかった男、デジタル派の男、まだ鳥を仕上げたことがねぇ男、彼女をイラつかせる男、パーリーざんまいの日々にサヨナラし鳥飼いになった男、愛鳥を心配しぶっ倒れた男、公営住宅に住む男、大会前の集いで愛鳥の自慢をする男たち。
そして鳥飼いを諦めた浮気性の警官からの…

「第522夜 暑き森」
中国人女性の悲劇。
ポルトガルに旅行に来た中国人→非番警官たちのデモに巻き込まれる→警官と恋に落ちる→中国人の名前の意味は「暑き森」→警官は既婚者→警官嫉妬深い→妊娠→音信不通になる→堕胎手術→仕事を探す→商店→盗みの濡れ衣をきせられクビに→住み込みの使用人→伯爵夫人に気に入られる→夫人と散歩→帰ると屋敷火事→夫人、愛犬のラブラドールを救いに家に飛び込む→夫人焼死。ラブラは自力で逃げ出す→北京へ送還される。
「暑き森」を語り終えたシェヘラザードはズアオアトリの話に戻る…

「第525~530夜 ズアオアトリの麗しき歌声 パート 2」
ズアオアトリ鳴き声コンテストの記念すべき第1回大会では、愛鳥が200回近くさえずり飼い主が心臓発作で死亡(鳥は見事入賞)
鳴き声コンテストは、命懸けの戦いが繰り広げられる激アツなコンテストである。採点基準の鳴き声は、ホイッスル、トリル、ストローク(チュンチュン、ピピピ、チチチ)
ラストのストロークでは鳥の個性が出る…
【コンテスト開幕。国歌斉唱!!】
ボスと呼ばれる男→大会の権威者。一目を置かれている→立派な飼育場を持ち、鳥たちは美しい調べを奏でていた→ある時餌場の鍵を閉め旅に出てる→鳥全滅→麗しの歌声は神話と化する…
妨害され最後のストロークが決まらなかったと激おこな男→「落ち着け!鳥がタフでも結果が出せなければ何にもならねぇ。しっかり調整し、きちんと仕上げてから参戦することだ」興奮した男を窘める年配の男。鳥はタフなだけではダメらしい(笑)
昨年頭角を現した新参者の男→まぐれだと思われている→違法な捕獲はせず、鳥は購入→夫婦で大会に参戦→どちらかが勝つと喧嘩になる→妻決勝進出(夫が決勝進出したかは不明)

靴職人の男、歌い疲れた愛鳥が死に泣き崩れる男、網に絡まったあわれな空の精霊を助ける男。そして…えっ!?はぁ?どういうこと???

ほぼ、男たちの熱き戦い「鳥の鳴き声コンテスト」に密着した話でした(笑)
ちなみにコンテスト会場は飛行場の横。騒音の中で行われ、繊細なんだか雑なんだかよく分からんコンテスト(笑)捕獲され調教される鳥もいい迷惑だな。
この世で起きることは全て裏表一体、悲喜と苦楽を繰り返す…。
そうくるとは思わなかったラスト…見事なストロークではなかったが(笑)悪くはなかった。音楽がめちゃ良かったっス。
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