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ヴァルパライソにて…のsonozyのレビュー・感想・評価

ヴァルパライソにて…(1965年製作の映画)
3.5
チリの港町Valparaíso(ヴァルパライソ)を題材にした1963年の短篇。

港を中心として急斜面に家が建てられている地形で、42の丘/42の村があったようです。
村の人たちは、長い階段か、アセンソールと呼ばれるケーブルカーで移動。
片脚のない老人が松葉杖で階段上ってたり、この地に暮らす人々の足腰は相当鍛えられてそう。

子どもたちは階段の手すりで楽しそうに滑り降り。
日傘の美しい女性や、なぜかペットのペンギン?を散歩させる女性、ダンスに興じる若者たち。

一方、丘の上に行くほど貧困層が暮らしていたようで、深刻な水不足など、村人たちが集会で議論したりするシーンも。

後半はモノクロからカラーに変わり、火災、サイクロン、地震、洪水、略奪..といった過去の辛い歴史を見せつつ、結婚式や凧あげを楽しむ子どもたちを捉えた明るいエンディングへ。

『ラ・ジュテ』のクリス・マイケルが脚本を担当したということで、多分、演出が入っているシーンもあるセミ・ドキュメンタリーですが、この急勾配/階段だらけの港町を知れただけで大満足。
撮影/カットもかなりいい感じでした。

※MUBIで約24分ver.を見たのですが、YouTubeなどにあるのは約27分ver.(後半にちょっと違和感のあるパートが入ってます)
この2タイプがある理由は不明です。

〈ヴァルパライソに関するメモ〉
1536年にスペイン人探検家に発見され、Val Paraiso(Valley of Paradise / 楽園の谷)と名付けられスペイン植民地に。
1818年にチリがスペインから独立すると、ヴァルパライソはチリ海軍の拠点兼貿易港として栄えたそう。
2003年には世界遺産に登録され、今ではカラフルな町並みやアートで知られる観光地となっているようです。
アセンソール(ケーブルカー)も10本ほどが現役で運行中らしい。乗ってみたいなぁ。
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