富樫鉄火

アリバイの富樫鉄火のレビュー・感想・評価

アリバイ(1963年製作の映画)
5.0

#29 渡辺美佐子大会@ヴェーラ。
再鑑賞だが、これは、戦後映画史に特筆されるべき名作だと思います。瞬きも惜しまれた。
とにかく、熊井啓さんのオリジナル・シナリオが、あまりに素晴らしく、『日本シナリオ大系』に収録されていないのが、不思議なくらい。
これぞ、映画の中の映画。熊井啓さんは、『警視庁物語』の長谷川公之に対抗できる、警察サスペンスの名手だったのでは。
普通、サスペンスは、途中で息抜きシーンがあるものだが、本作は皆無。全編が、ほぼハイテンション100%で突っ走る。それでいて、飽きずに、ラストまで観られた。これ、明らかにシナリオの力だと思います。
あたし、熊井啓さんには、著書担当ほか、ずいぶん、お世話になりました。本作のシナリオ術も、聞いておけばよかった。
ラストの花畑での「銃」追跡は、やはり、熊井啓さんが敬愛する黒澤明の『野良犬』へのオマージュですか。
富樫鉄火

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