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劔岳 点の記のmarimoのレビュー・感想・評価

劔岳 点の記(2008年製作の映画)
3.2
邦画におけるレジェンドカメラマン木村大作の監督作品
良くも悪くもCGを拒んだ美しい風景映像
剱岳の記録映像としては素晴らしいと思う

この美しい映像を使ってドラマパートを加えた
ドキュメンタリーと作劇のハイブリッドのようなものと思ってみるのが良いのかなという印象

何より劇場で観ないと本作のポテンシャルは発揮できないと思うので
2024年の元旦から上映ラインナップに入れてくれたチネチッタに感謝です
とは言っても、劇場はガラガラでした
少し高齢者のお客様のチラホラ
映画の日に1800円の特別料金のみでの上映なので仕方ないのかな
(これはもう劇場公開は無いな、観ておいて良かった)

映画というよりは
100年前の剱岳の登頂の記録を
現在の剱岳の映像と当時を再現したドラマパートを混じえた記念特番のような印象
映像は映画クオリティなので映画館で観る理由にはなるのですが映画としてみるとどうにも物足りない

本作だけを観ると
最後に選択する最難関ルートが実は1番簡単なルートだったのではと勘違いしてしまうほど呆気なく登頂してしまうのである
ん、今までの苦労はなんだったんだ?そんな拍子抜けな登頂
なにか登頂に至る一番重要な過酷なシーンがまるまる端折られているように感じた(寝てません)

観賞後に調べると
重い標石を運び上げることが出来ず三等三角点を設置するのを諦めて
点の記には残らない四等三角点しか設置できなかった(この諦めた件が劇中だと伝わりづらい)
2004年まで三等三角点の設置が出来無いレベルの苦労は伝わらないよなと…

木村大作さんは物語を描くことにはそこまで興味がないのかもしれないです

さらに「山岳会」と「陸地測量部」との初登頂争いも事実としては無かったのだとか(まあこれは原作がベースなので仕方ない)
登頂者のメンバー構成も証言者ごとに記録も曖昧だったりと真実は定かでは無いです

原作がそもそもフィクションも含んでるので、原作通りなのですが
映画では、どこかドキュメンタリー的な要素も多かったりするので
映画がしたいのかドキュメンタリーがしたいのか、なんともどっちつかずな歪な印象

ただ木村大作さん
レジェンドカメラマンということもあって
人物を美しく撮ることには長けていて
本作における宮崎あおいは、最高到達点の美しさです
宮崎あおいを見るのを目的とするだけで十分楽しめる作品だったりします

なんとなく正月のコンディションぐらいで観ると丁度良い感じの映画でした

チネチッタが上映してくれなければおそらく観る機会は無かった気もするので
本作の宮崎あおいを知れたことに感謝です

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▼劇場
 チネチッタ
 CINE8
▼作品名
 【ZR2324 LIVE ZOUND】 劔岳 点の記
▼日時
 2024/1/1(月)
 14:50~17:15
▼座席番号
 J-11
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