ポルりん

闇刻の宴のポルりんのレビュー・感想・評価

闇刻の宴(2015年製作の映画)
2.3
1.「うつしえ」

■ あらすじ

『シーズンオフの旅館にやって来た仲居は一人で誰かと話す管理人の声を聞く…
部屋には見覚えのある少女の面影を宿した絵…その夜、闇に響く惨劇のセレナーデ』


■ 演出

演出はかなりいい。
影の使い方や間の取り方、SEの使い方、演出面はかなりレベルが高いように思える。
惨劇のシーンをエンドロールに持っていき、役者の悲鳴声や惨殺音のみで表現している。
惨劇シーンを音のみで表現する事で、より効果的に恐ろしさを表現していると思う。


■ キャラクター

男女それぞれ2名ずつ出てくるのだが、男女共に容姿や性格が似すぎているので誰だ誰だか分からなくなってしまう。
あとキャラクター紹介を端折りすぎ。


・主人公


主人公がシーズンオフの旅館にやって来た仲居だという説明もないので、


何でお客が仲居の恰好をしてるんだ??
あ、この人仲居だったのね。。
でも、特に仕事してる様子もないし客間で寝てるか客や管理人の声を盗み聞きするだけだから、仲居じゃないのかな??


ってなっちまう。



・主人公の友達


今まで全く登場しなかった主人公の友達が唐突に出てきて、犯されてるのを見せられてもなぁ~。
フラッシュバックで主人公と友達が仲がいいシーンを見せられるんだけどさぁ・・・。
悲劇性を描きたいんだったら、順番逆じゃないか??

この話だと、


主人公が客間からあえぎ声が聞こえるので襖を開ける。

知らない女が客に犯されてる。

フラッシュバックが入り、主人公とその女が仲がいいシーンを10秒ほど描く。

実は犯されていた人は主人公の友達だった!!


となっている。
レイプされているシーンを描くだけで、胸糞悪くなってくるのだが、悲劇性を描くのならば弱い。


悲劇性をより強調させたいのであれば、


主人公と友達が一緒に働いているシーンをしっかり描く。

真夜中、友達の部屋から喘ぎ苦しんでる声が聞こえる。

心配になって友達の部屋に向かう。

友達が客に涙を流しながら、犯されている。


といった方が、よりキャラクターに感情移入する事が出来るので、悲劇性が増すのではないだろうか・・・。



・管理人

絵から出てくる少女に誘導されて殺人を犯してしまうブザメンハゲ。
初登場から、どこかしら狂った雰囲気が出ていたので、既に少女に洗脳されていたのだろう。
無意味でキモイ濡れ場を描くんだったら、少女と出会う前(出来ればかなり誠実で明るい感じ)を描いた方がいい感じのギャップが付いて良いと思うんだけどな。




■ シナリオ

余りにもざっくりしすぎてて意味不明。





2.「子の棲む家」

■ あらすじ

『主婦の美里は苦しい生活で夫との口論が絶えず、娘を虐待するようになっていた。
思い悩んでいたある日、美里は郊外の格安一戸建て物件を見つけるが…』


■ 演技


・母親

個人的に最も見るに堪えられないものは、親が子供に虐待をするシーンなのだが・・・。
正直、余りにも演技が下手すぎて違う意味で見るに堪えれなかったな・・・。
特に娘を引っ叩くシーン・・・完全に娘の頭上で空振りしてるよ。


・娘

家に住む亡霊に体を乗っ取られて、母親に首絞めをかますのだが・・・。
どう見ても首を絞めているようには見えず、首に手を添えているだけに見える。
ただ、顔面はかなり力んでいるので、シュールな絵面になっている。


■ シナリオ

先の話よりは分かりやすいものの、それでもかなり粗が目立つ。
とりあえず、この一家って生活が苦しいのが原因で、家庭崩壊起きてんだよね??
何で一戸建てに住もうとしてんだよ!!
生活が苦しいんだったら、普通に賃貸のアパートに住めば解決する問題じゃないのか??

それと恐らく、母親が過去に自分と同じように娘を虐待している様を目の当りにして、自分が如何に愚かな事をしていたのかに気付いて虐待を止めたように見せたかったんだろう。
ただ、100人が本作を観たら99人は虐待していた娘に反撃されたのにビビって、虐待を止めたように感じてしまうぞ。

あと、壁一面に「お母さん出して」って書かれてる部屋があったけどさ・・・。
そのまま放置した状態で人に貸すって、ここを管理してる不動産はどういった管理体制をとってるんだ??
隠し部屋ならいざ知らず、普通の部屋でこれな流石にないだろ!!!



■ 演出

全体的にそこまで文句はないんだけどさ・・・。
ラストのブス幽霊はねーわ!!!
恐らく、前に棲んでいた家にいたブス幽霊が、仲良くなった母親と娘の家にも憑いて来てたという事を表現したかったんだろうけど・・・。
近所の生息する生きたブスが、母親と娘が仲良く家を後にした後に、空き巣を目的として侵入する様子を描いているようにしか見えんぞ!!!




3.「36℃の視線」

■ あらすじ

『蒸し暑い夏の日、一人暮らしの女が窓を開けて昼寝をしていると、ベランダから何かが入ってくる気配がする。
その瞬間、金縛りにあい身動きがとれなくなる女。』


■ 演出

SEで虫の音を出し、キャラクターに「暑い」というセリフを言わせることで、真夏日を表現したいんだろうし、それ自体は全然いいと思う。
ただ、真夏日を表現したいんだったら、撮影時間を夕方ではなく昼にした方が良かったんじゃないか??
そもそも、朝起きて友達から「今すぐ公園に来て」って言われて、着いた時間帯が夕方って変じゃないか??
エンドロールは「パニック・ルーム」みたいにスタイリッシュでいい。


■ 編集

シーンとシーンの繋ぎが余りにも酷すぎる。
何度か会話が途中から始まってたり、何かしら行動している最中に次のシーンにいったりと、観れば観るほど不快指数が上昇していく。
最初は、何かしら意味があって意図的にやってるのかと思ったのだが、どうやらそういう訳ではないらしい。


■ キャラクター


・ブス

主人公の友人で、やたら主人公に彼氏自慢をする奴。
どうやら、彼氏から浮気を疑われて家から追い出されたようだが・・・。
とりあえず、彼氏に一言。

安心しろ、万に一つもない。
余程のブス専ではない限り、彼女から浮気を持ち掛けても、立ち去っていくはずだ。


・ハゲ

主人公をストーキングするブス専。
愛する主人公にかなり痛いアプローチをして主人公からキモがられる。


・主人公

そこそこのブス。
友たちのブスに彼氏自慢をされた後、ハゲからかなり痛いアプローチをされ、自宅アパートに逃亡。
その後、アパート内にゴキブリがいる事が発覚し、以降ゴキブリを殺す為に奮闘する。
ゴキブリに親でも殺されたのか分からないが、異常なまでにゴキブリに対し執着を見せ、殺傷しようとする。



■ シナリオ

・ブスの彼氏自慢。
・ハゲの痛すぎるアプローチ。
・エイリアンとの遭遇。
・宗教の勧誘。

以上のことが、ゴキブリと遭遇するまでに起こるのだが、それらの出来事がゴキブリ退治に活かされることもないし、何かしらの関連性を持つこともない。
一体、何のために入れたんだ??
単なる尺稼ぎだろうか・・・。
だとしたら、「チャージマン研」を超える酷い尺稼ぎだぞ。




4.「幽閉confinement」

■ あらすじ

『朽ち果てた部屋にひとり幽閉されたアカリ。誰が、なぜ、何のために? 
意味も無く時間が過ぎていくことの恐ろしさにアカリの精神は破壊されていき。』



■ 演出

全編に掛けて、人形の衣装や表情が全く変化しておらず、一言も言葉を発していないのに、人形が感じているであろう負の感情がダイレクトに伝わってくる。
黒子の人形の動かし方も見事で、本当に人形が生きてると勘違いしてしまうほどだが、やはり最も秀でてるのは監督の手腕だろう。
BGM、SE、カメラアングル、フレーミング、照明など、どれをとっても一級品である。



■ シナリオ

ストーリーは、アカリという少女が何処かに幽閉されている様子を淡々と描いているだけなので、特にストーリーというものはない。
こういった構成で変にストーリーを入れるのは、完全にナンセンスだろう。
まあ一応、最後にとある展開はあるのだが・・・個人的には普通に朽ち果てて動かなくなっただけの方が、結果的により悲壮感が出て良かったように思える。




5.「岩」

■ あらすじ

『ゴミ溜めのような部屋に身を寄せ合って荒んだ暮らしをする男と女は深く愛し合っていた。
しかし男は女の怨みがましい面相が好きになれなかった。』


■ 演出

序盤、彼氏と彼女が着衣SEXをしてるシーンがある。
実際、よくある事だし別にそれ自体はいいのだが、彼氏はズボンを彼女はパンツをガッツリ履いている。
一体、どういう事なんだってばよ??
まぁ考えようによっては、じらしなどで使うこともあるのだが、2人はそれで昇天してる。
彼氏彼女ともに、パンツの中はぐっちょぐちょのはずだ。
何でこんな訳の分からない演出にしたんだ??
普通に、布団一枚被せれば済むはずなのに・・・。


■ 色彩

かなり適切なチョイスだと思う。
全体的に青っぽいトーンでまとめられている事で、彼氏と彼女のそれぞれの世間からの孤立を適切に表現している。


■ シナリオ

最初は彼氏がブス専で彼女をよりブスになって貰う為に、DVをしていたと思っていたのだが・・・。
あー、そっちね。
世の中色んなもの好きがいるんだな・・・。





6.「ひなげし」

『旦那に先立たれ一人延々と寝たきりの義母に縛られる義娘。
朦朧とした意識に殺意を宿しながら…
闇から伸ばした手が開いた扉は出口では無かった…』


■ 演出

可もなく不可もなくといった無難なところ。


■ シナリオ

普通に考えたら、性格最悪の義母を何度殺しても主人公の目の前に現れたら、精神崩壊しそうなものだけど・・・。
人に依っては最高の存在なんだろうな・・・。
「Fate/Zero」に登場する雨生龍之介とかだったら、この展開に歓喜しそう。

何となく主人公に憑りついてるというよりは、呪縛霊っぽいので、そんなに嫌なら引っ越せばいいのに・・・。
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