2013年のベネズエラ産サスペンス。アレハンドロ・イダルゴ監督・脚本。前から気になってたのだけど配信にないのでDISCASで。なるほど評判通りの良く練られた脚本の作品。オリオル風味あり。
邦題とジャケ写、コピーが完全にB級ホラー路線だけど、元題は「la casa del fin de los tiempos / The House at the End of Time」・・・邦題”マザーハウス: 恐怖の使者”って・・・わざとミスリード狙ったな?
夫婦そろって早々と、司祭の正体と、母が持つ秘密には感づいてしまったけど、それぞれの登場人物と、過去と現在の、重層的な脚本構成が緻密で唸らされる。数多くの伏線が絶妙に紡ぎ合わせられたストーリーは、たった101分とは思えない重量感。そして終盤の見事な回収と、涙の結末。
と、じゅうぶん楽しませてもらえた前提ですが・・・破綻してるように思えた点も幾つか。一緒にもやもやしてみたい人いたら読んでみてください😉
以下ネタバレあり。
・鏡に血文字で11が6つ。ちゃんと伝えたいなら、なぜ頭に20を付けない?まぁ、演出か。
・夜11時は実際には23時。ていうか午前11時はすっ飛ばされるの?
・司祭は何故11月11日11時11分11秒まで耐えろと?→30年ごとに何かが起きるから?しかし。
・司祭も何が起きるかわかっては居ないはず。ドゥルセが失踪するだけな可能性が大きい。
・2011年の時点で”家が建てられたのは約100年前”との言及・・・なら1911年前後。
でも明記されてた2度めから30年引くと1891年では?30年周期とは-20年のGap。建築家の家族はいつ失踪した?30年周期とは別の理由?
・以下がその後のタイムライン
・1921年11月にはホセ・アビレスとソラヤ・ロドリゲスが失踪
・1951年11月には英国出身のエックハルト一家(もとの建築家と同性だっけ?)が失踪
・1981年11月に「ロドリゴ事故死の翌日、夫殺害、長子失踪」
・2011年11月に「老ドゥルセが老レオと会う」
・2041年11月・・・何も語られていない
・2071年11月から来た老レオはあの屋敷に住んでいるってこと?
・なぜ1981年にはレオポルドも2人・・・いや、3人いたのかの根拠付けがない。
・1981年11時11分11秒に現れたレオも過去に飛び、まだ生きていたロドリゴを抱きしめて「大好きだよ」と伝える?・・・前日にロドリゴが死んだはず、ってことは1981年のレオポルドだけ30年単位ではなく、1日前にタイムリープできた?”家”の意思?
・事故で殺してしまったロドリゴとの再会時、贖罪のためかレオポルドは母に貰ったムーンストーンをロドリゴに渡すが、ロドリゴはそれをサライに渡す。それを見たタイムリープ前のレオポルドはロドリゴに嫉妬し、不幸な事故につながっている。ぜんぜん美談じゃないな・・・。
・2011年からきた老ドゥルセは老レオポルドから頼まれ、渡された包丁でホセを殺害後、1981年から息子を連れ去る(=失踪)。もうすぐ息子を襲う心臓病から未来で治療するためだったが、もし息子を連れ去らなければ、ドゥルセは継父から息子を救った母であり、30年もの辛い投獄生活は無かったはず。
・老レオポルドがマルチバースの変異体だとすると、他の家族全員を犠牲にして自分が助かるタイムラインを守りにきたってこと・・・うーむ。
・これが”家”の意思だとすると、なぜ他の全員を不幸にしてまでレオポルドを救った?
・ただ・・・もとはドゥルセの浮気?が原因なんだよね。
・なにより、ロドリゴが死ななければ、継父にレオが実子でないことバレなかったはず。防ぐべきはロドリゴの死だったのでは?
・30年サイクルの前日に家の外で起きた事だからどうしようもない?
・”生命体の絶対的な真実”、フリーメイソンっぽい紋章の謎や、やたら鍵がかけられる部屋なども回収されなかった要素。
とはいえテーマである母の愛には涙しかないよね…。
以上、疑問点は残るけど面白かった!韓国リメイクも観てみよ😁