annnouimo

ダンガル きっと、つよくなるのannnouimoのレビュー・感想・評価

4.3
スポ根に見せかけて、女性差別問題について投げかけている社会派映画。

え?これ映画でしたっけ?
と思えるほどの臨場感!
あれほど身を乗り出して映画を観たことはありません。スポーツ観戦の錯覚に陥ります。
俳優さん達は、レスリング経験者ってわけではないですよね?あれが“演技”とはお見事。

アーミルカーンのムキムキの筋肉からのおじさん体型(ムキムキベースのお腹ぽっちゃり)。役作りがすごい。若い時のシーンはPKっぽくも見えた。

格闘技キライ、スポ根精神ゼロの私にはたして楽しめるのか?と思いつつ鑑賞開始。
子供時代はほぼ感情移入できず。
なんだかんだ言ってパパに従う娘たち。私には耐えられない。

でも、パパに電話するシーンは涙が滝のように流れました。
あれはリアルだった。
私もあんなふうにお父さんに何かを伝えたことがある気がする…

いつだって最後に信じるしかないのはパパ。わかるわぁ。
お父さんに反発することはあっても、お父さんの言うことは絶対。
絶対って、絶対的権力ではないよ。
絶対自分の味方でいてくれて、自分が安心できるのはお父さんの意見だという絶対。
お父さんって、私に存在価値を与えてくれて、私を自由にしてくれる、一番の理解者だと思う。

だけど、それすらも乗り越えさせようとしていたアーミルパパ…。
私が、お父さんが居なくなって最もツライと感じたポイントを、見事に克服させようとしてました。
涙なしには観れなかった。

作中ほとんど笑顔を見せることがないアーミルパパ。威圧感も世のお父さんっぽい。
語り手のいとこの存在が良い息抜きになってました。姉妹それぞれの性格もなんだかリアル。

単なるスポ根と思いきや、男尊女卑についても斬り込んでます。
けど、この問題はさすがのアーミルカーンでも手強いと思うよ。
男尊女卑は、女性の社会進出や活躍だけで解決できる問題ではないから。
女性が活躍すればするほど男尊を誇示してくる男の人もいます。全員とは言いませんが、男って男尊女卑がDNAに刷り込まれてると思います。
男性同士では気づけないし、表面化しないけど、女性の足を引っ張る男性はすごくたくさんいるのです。
そういうのをやっつけたり、無視したり、気にしないようにしたり…、まぁ総じて闘ってるわけです。

この映画では、レスリングに象徴されるように様々な二者の対立関係が表現されています。
父と子(姉妹)、父と母、父と娘(姉)、姉とコーチ、姉と妹、父とコーチ。
いずれもどこかで折り合いをつけ、歩み寄りを試み、いい距離感を保ちます。
唯一歩み寄りがなかったのが父とコーチ。
男対男のパターンは歩み寄らないねぇ…
そこまで表現していたと考えるのは、深読みしすぎかな?



以下、ちょっとネタバレ。

この映画で、レスリングの点の入り方を学びました。

絶対どこかで5点の技を決めるんだろうと思ってましたが、まさかあそこであのタイミングとは。
王道スポ根ストーリー、ここに極まれり。

国歌が流れて勝利を知るとは感動的。
てか…、閉じ込めたのなんでなの?自分の指示のみで勝ったと言いたかったから?
選手が動揺して負ける可能性は考えなかったのかな?
結局、自分が偉いことを誇示したいってことか…。
つまらん男あるある。
うちの会社にもいるなぁ。。。
annnouimo

annnouimo