ジェイコブ

恋妻家宮本のジェイコブのレビュー・感想・評価

恋妻家宮本(2017年製作の映画)
3.6
中学教師の宮本陽平は、ファミレスの注文もすぐには決められないほど、優柔不断なお人好し。学生時代に出会った妻の美代子と仲睦まじい家庭を築き、息子の正が一人立ちするまで、二人の間には喧嘩もなく平穏に過ごしていた。ある日、宮本は自宅の本棚で自分が学生時代に初めて美代子に貸した本である「暗夜行路」を手に取ると、ページの間に挟まれた記入済みの離婚届を見つけてしまう。その日を境に、これまで順調に行っていたと思われた宮本の生活の歯車が狂い始める……。
遊川和彦監督脚本作品。阿部寛と天海祐希が夫婦役を務めた。テーマは正しさよりも優しさ。今まで相手の顔ばかり伺って優しい人であり続けた宮本が、熟年離婚の危機をきっかけに、家庭と仕事の両方で起きる問題と向き合う姿が描かれている。
宮本は50になってから通い始めた料理教室で料理に目覚め、料理を通して優しさの大切さを学びまた料理を通して周りの人に伝えるのだが、それがメッセージの説得力に作用している。
見る人が結婚しているかどうかで評価が変わりそうな部分もあるものの、遊川脚本の中では好きな作品。ただ、作品全体的に拭いきれない電通感が漂っているのが残念なところ。また、個人的にラストは余韻に浸りたいので、キャスト全員による合唱より、吉田拓郎本人による弾き語りの方が良かったと思う。