かたゆき

裸足の季節のかたゆきのレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.0
トルコの閉鎖的な田舎町で厳格な叔父に育てられる5人姉妹の抑圧された青春の日々を、息を呑むほどの美しい映像で描いた抒情的な作品。

なんとなくソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』みたいな感じなのかなと思いながら今回鑑賞してみました。
確かに彼女の作品の影響を色濃く受けているのですが、これはこれでなかなか面白かったですね。
コッポラ作品にはない本作ならではの美質は、美しい映像の裏に適度に配された明確な政治的メッセージでしょう。
すべての女性を男の都合のいい価値観の元に縛り付ける前時代的な考え方――結婚するまで処女を守り通すことが最上の貞節とされ、初夜の夜にわざわざ夫の家族がシーツが血に染まっているかを確かめに来るような――に対する怒りが、作品の通奏低音となって詩的で美しい映像にいいアクセントをくわえている。

また美しい5人姉妹を演じた少女たちの自然な演技も素晴らしく、特に末っ子を演じた女の子が時おり垣間見せるきらきらと輝くような笑顔なんてとても良かったです。
うん、なかなかの良品でありました。
星4つ!
かたゆき

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