Miver2

裸足の季節のMiver2のレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.3
眩い光が射し込む中で、可憐で美しくて危うい5人姉妹の姿をとても魅力的に描く物語がとても観応えあって面白かった。

自由奔放に振る舞うその姿はキラキラしていて瑞々しさが溢れていて、目の前に拡がる世界を謳歌するその姿は微笑ましくて。
でも古い慣習に縛り付けられ、大人達の狭い世界はまるで檻の中へと閉じ込めるかのようで。
その対比の深さは計り知れない物があった。
そして物語を観ていて重い題材なのに、何処かフワッとした感覚を体感しながら観ていたのがとても印象に残っている。

大人達の檻の中へとどんどん追い詰められていく中で試みる世界への反発と抵抗。
何もかもが勝手に決められて、諦めて手にする世界よりも、自分の本能と野性に従ってその世界を切り開いて行こうとするその姿に釘付けになる。

既存の価値観に閉じ込める大人達と新たな価値観を求めて世界へと飛び出す子供達の攻防戦はとてもスリリングでドキドキする。
その光景を観て、思わず願わずにはいられなかった。
そして悲しみと遣る瀬無さの果てに拡がる景色と感じるその気持ちが観終わった後にとても深い余韻を残してくれる。

物語が終わったその先をもっと観てみたくなる、あの終わり方が凄く好き。
キラキラしていて、何処か切なくて。
閉じ込めるその世界の先に見るべき世界はある種美しくて残酷な未来が待ち構えている。
映像や景色の美しさはある種の残酷さと背中合わせの様で、それがまた観ていてとても良かったな。

少女が大人になる過程での大人との軋轢をしっかりと描きながら、とても洗練された瑞々しさを放つ素晴らしい作品でした。
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