かわさき

裸足の季節のかわさきのレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.3
 鑑賞に耐えられないほど、観ているのがつらい映画が存在する。イスラム文化の男尊女卑を描いた作品はそのひとつで、今作はその中でも抜群にヘビーであった。

 監獄のような家(おおよそ"家庭"とは言い難い)で育てられ、他者との関係性もろくに築けず、社会と断絶された生活を続けている5人の美しい姉妹。本作は彼女たちの無垢な姿を中心に、トルコの片田舎における因習性を鋭い筆致で追ったものである。

 旧態依然としたイスラム社会を糾弾した作品は過去にも多くある。ジャファール・パナヒの映画がそうだろうし、ドキュメンタリーでは現在公開中の『ソニータ』なんかもそれにあたる。そんな作品を観る度に、「多面的な議論が必要である」と言い訳に等しいエクスキューズを用意してきた。が、やはり当人が「辛い」と言えば辛いのだし、それは絶対的であってしかるべきのはずだ。

 原題の『Mustang(野生馬)』に最も近いのは末っ子のラーレだが、本来は彼女にようにあっていいはずのだ。そこに議論なんか必要ない。いい加減、はっきり言いたい。こんな文化はクソ。文化とも呼びたくない。
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