せいか

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出のせいかのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

11/19、Amazon videoで動画レンタルし、字幕版を視聴。

1945年のヨーロッパ戦勝記念日にのちのエリザベス二世女王となるエリザベス王女がこれを国民と祝うべく妹のマーガレット王女と共に許可を得た上で外出して国民たちと共にこれを祝ったという話に着想を得たもの。
国王たちからの外出許可を得るも、結局は外交に繋げた社交場を設けられるだけで、妹がまずそこから逃走し、それを追って姉も脱出、点々と移動を重ねる妹を追う形で姉も熱狂する人々で揉み合うイギリスの街中を果ては治安が最悪なソーホーまで駆けずり回ることになる。ついでにいかにも貧しい家に住まう(びっちりとひしめくアパートの一室)彼の実家にもお邪魔する。

このときにたまたまロンドンバスで乗り合わせた空軍のジャックがエリザベスの頼みの綱となり、邪険にされながらも身分を隠した上で妹探しに協力してもらうという形で話は展開するため、お忍びの王女が人々と交流していくというよりも、あくまで大衆は通過点で、それと繋いでくれるのがジャックという感じ。なので、貧しい国民であり、脱走して母と最後に再会した後にはそのまま出奔するつもりだった彼との交流が密に描かれる。一種のロマンスなのだけれど、こういう形でこのお忍び外出且つ国民との交流を描いてきたかとは思った。

全体的にテンポよく、当時の様子を押さえるところは押さえつつコメディタッチに描いているので面白いのだけれど、なんか感想は持ちにくい作品だった。
作品を通して、この熱狂の後には現実がすること、それはエリザベスが女王になった頃にいよいよはっきりするだろうことに触れていたり、浮かれ騒ぐ人々にもこの戦争の痛手は傷となっていることだとか、王室には王室の、国民には国民の苦しみがあることだとかも押さえてはいる。押さえてはいるのだけど、軽いというか。全体を通して結局どこにポイントがあるのか?とは思った。
最後に結局、二人はキスをして(それぞれの場所へと戻り、)別れるみたいなところに落としたのもなんだか理解に苦しむというか、まあそうなるのかというか。

イギリスという国を、酷使されながらも一番の土台となって支えている庶民たちというのに曖昧にフォーカスしてまとめてしまっている感じは否めない。それをするとシリアスになりすぎるのだろうし、たぶん目的としてはエリザベス女王を持ち上げつつ、この一夜の逸話を明るく語り直したいというものなのだろうけれど。
このときのイギリスという国の立ち位置とか、背景にある戦争、社会もかなりライトに示唆されるだけなので、本当に良くも悪くもコメディタッチにまとまっているというか。ほんとに観ててあえて何も思わないというか、そうね程度のものしかないというか。気軽に観れる一作であるとは言えるというか。
姉妹は、国民の声を聞いてくるという殺し文句で父王から許しを得たのが起点なわけで、その国王も実際にエリザベスが連れて帰ってきたジャックを目の前にすることで大多数の層を代表する国民のひとりと向き合ったりもしてたのだけど、結局、「国民の声」って何?みたいな、そこがはぐらかされてるというか。実際に街を彷徨った次期王位相続権のあるエリザベスが観測したのだからオッケーってことなのかもしれないけれど。
なんか、切り込みが甘くてふわふわしてると思うのだなあ。無難にまとめられすぎてて芯がないの一言に尽きるのかも。
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