鰹よろし

SPOOKS スプークス MI-5の鰹よろしのレビュー・感想・評価

SPOOKS スプークス MI-5(2015年製作の映画)
3.0
 指名手配犯のカシムをMI5からCIAへと引き渡すべく移送中、武装集団の襲撃に合いテロリストたちに身柄を奪還されてしまう。

 作戦の指揮を執っていたハリーはその大失態の責任を負わされ失脚、その後消息不明に。ハリーの元部下であり彼に解雇された過去を持つウィルに招集がかかり捜索が開始されるのだった...

 ハリーは襲撃事件を受けてMI5の内部に裏切り者がいることを察知しており、組織とは別に独自に真相究明に向けて動き出していた。ウィルはハリーと敵対協力したり、ハリーはというとカシムとも敵対協力したりよくわからない距離感のまま事態は混迷を極めていく...

 複雑化混迷化する対テロ戦争と弱体化に直面しているMI5。そこに付け入ってくるアメリカCIAとの力関係の変化と懸念。西洋諸国でのテロ、パキスタンへの報復、無人機による爆撃の全ては同様に殺人行為であるにも関わらず異なる見解が示される社会と情勢。

 言葉遊びや皮肉に屁理屈と個々の細かな言動から、襲撃事件はもちろん無言の圧や空港での一連の出来事、テロリストとの取引に駆け引きなどなど所属する側や立場に関係性と諸々考慮できる条件(情報)が変化すれば見えてくる景色が全く違ってくるという可能性の示唆が端々に展開されている。

 また...、それぞれの人間が異なる目的を掲げ、異なる立場の上でわかる範囲の情報で判断を下さざるをえず、すれ違いあるいは衝突しまた一方で協力していく中で、

 その場その場で道を分かちて行く瞬間的な判断から、日を跨ぎ月を跨ぎ年を跨ぎ行く行くは世代を越えて影響を及ぼすことになる(かもしれない)決断までの選択ないし分岐と、それに対して提示される結果及び解をごちゃまぜにしており、

 単純に一問一答で結び付けることなく、時に重複するかもしれない、いやそもそもそれぞれに対応するものがあるかもわからない、そして因果関係のみならずその動機すらも不明瞭に、意図的に真意や本意を見えにくく描いており、複雑化混迷化混濁化していく情報戦の視野の狭さ見通しの悪さはゼッピン。

 どの時点を以て結果が出るのか、結果とするのか、いや結果と見なすのか。またその是非を判断するのかそしてできるのか・・・

 全容を知り得る者などいない中で、ナニカを左右するかもしれない判断や決断を不透明な選択をいったいどのように・・・

 一向に晴らしてくれない問題が絶対的な影を落とすラストまで陰鬱なんだ・・・教えて~・・・


「マイル22」(2018)...
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