リヴェット12時間40分超長編映画。
もて余すほどの不思議っ子展開は覚悟していたものの正直、途中5時間くらいまでは、ややげんなり。
しかし不思議と後半から、癖になる。リヴェットが映画のなかで提示するある種異言語の文法のようなものを、少しずつ体得していくかのように、次のエピソードをまた望んでいる自分に驚く。
最後のエピソードを見終えた時の、なんとも言えない脱力感。
終わってしまったのか、これで、終わりなのか。もう1エピソードくらいあっても全然構わないのにという未練がましさ。
この映画を観る。約13時間もの自分の時間を割いて、ずっとスクリーンを見続ける。
それはまるで登山に近しい体験で、見える景色に対する感動は、自分の身体に蓄積していく疲労に比例するかのようだ。
回りを見ると他にも登山客がいる。嗚呼、よくもまあこんなところにと思わず共犯めいた苦笑が止まらない。
映画は映画を観る人がいて初めて成り立つ。時を、国を越えて、この映画を望む観客が少なくないことに、何だか笑みが溢れる、良い体験だった。