風変わりな作品だった。
近未来のベルリンを舞台に、突然姿を消した青い髪の彼女を探す"声が出せない木偶の坊"。
まるで『ブレードランナー』という世界観で繰り広げられる人探し。
しかし、まるで近未来要素を生かせていない。
飛ぶ車や、ネオン街での混沌とした人間模様は分かるのだが、そっからのドキドキ感は皆無。
もう少し楽しませて欲しかったな!!
物語に関しても突っ込みどころ満載。
はじめから主人公以外に、娘を連れたアメリカ人にもフォーカスが当たるのだが、まるで主軸の話と繋がってこない。
終盤に入り、ようやくそこが交わることで展開は急激に進むのだが、、、
最初の難解さに対する種明かし後の物語が陳腐過ぎて、、、
小さい頃に声を失ってしまった男。
だからミュートなんだろうけど、結局この声が出せなくなってしまった背景だったり、声を出せないからこその捻りある内容とかには全くなっていないのよね。
言ってしまえば、救えぬ話である。
本当の本当のラストには、自分が探し求めていた愛が確認できて終わる。そこは唯一の光であったのだろう。
終わり方は悪くないのだが、どうも出だしのミステリー感を引っ張り過ぎて、感動できる物語には収拾がつかなくなっているのよ。
監督ダンカン・ジョーンズは『月に囚われた男』でも難解なテーマを映像化してきた。
(私は未見ながら、かなり評判が良くて気になっている作品のひとつである。)
その続編として描いてるだけあって、やはりこちらも謎解きが一筋縄ではいかないようだ。前作が好きなら一見の価値あるのかはわかりません!
分かりづらい世界観を楽しめる人にはオススメするが、広く一般的には好かれないだろうね。
エンドクレジット前に、"父へ捧ぐ"と出てきたのだが、全く知らなかった。監督はデビッド・ボウイの息子さんだったのね。
良くも悪くもNetflix映画って感じでした。
嫌いじゃないけど、好きでもないかな。
でも、やっぱり近未来作品って観てるだけでワクワク感はあるわ。視覚的に楽しめました!