櫻イミト

星空のマリオネットの櫻イミトのレビュー・感想・評価

星空のマリオネット(1978年製作の映画)
2.5
ATG後期1978年の青春映画。佐々木史郎の第一回プロデュース作品。監督は自主映画出身の橋浦方人。助監督に相米慎二。

1977年茨城県古河市。暴走族のヒデオ、性同一性障害のヒロシ、奔放なアケミ、漠然と日々を過ごす若者たちの不条理な生と死を描く。

文学的な死を描こうとしているが、監督含めスタッフ総ぐるみで実力が伴っていなかったと思う。特に音楽が合っていない。しかし、この時代に本作のような映画が作られ現在も観ることが出来る事は意味がある。


お世話になった知人を偲びながら鑑賞。亡くなる直前の彼のブログには連日、大学生当時の思い出が記されていた。1970年代後半、おたく第一世代の青春期。当時の邦画は角川映画とアニメが全盛で、現在に続くサブカルチャーの原点が育まれた時期。振り返って語られることの少ない時代だが、現在までに切り捨てられたものは、本作からも滲み出る”湿り気”かもしれない。大雑把に言い換えるとノスタルジーという言葉が当てはまるだろうか。同世代の庵野秀明監督作品からは今では失われたノスタルジーを感じる。自分と世代は違うのに何故か懐かしさを感じるのだ。
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