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青春の十字路のshoyanのレビュー・感想・評価

青春の十字路(1934年製作の映画)
4.0
パラサイト公開を前に、現存する最古の韓国映画を見てみることに。日本統治時代の1934年の作品。

都市と農村が対比して描かれている。

都市の青年ゲチョルの行動と表情は分かりやすい悪役であり、またそのゲチョルの家にドアを壊して入っていくシーンは、クラシカルな勧善懲悪ものの映画のラストの討ち入りシーンそのものである。

この都市と農村という主題の裏には、農村(古きよき韓国)と都市(日本の統治下である韓国)という構図が隠されているのではないかと考えた。

悪役のゲチョルが登場するシーンではしばしば、背景に「カクテル」「サッポロビール」などと日本語で書かれた看板が映りこむ。日本の統治下に入って、経済的にも豊かになった都市であるが、欲にくらみ大切なものを失うことへの批判がこめられているように見えた。

途上国の歴史研究の分野において、統治時代の資料は検閲などのために中央にまとめられていることが多く、そのため逆に今も残っていることが多いという。(民間のみだとフィルムが分散した結果、紛失してたりするらしい)

この映画もまた、日本への批判的な視点が裏テーマにあったがゆえに、当時日本人が所有・経営していた中央に保存され、後世にまで残るようになったのではないか。
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