(あらすじ的な何か)
貧民街で盗みや物乞いで生活するブランカ。ある日テレビの放送で、女優が貧しい子どもを養子にしたニュースを見て思いつく。
「わたしが母親を買えばいい!」
いつもの通りにいる盲目のギター弾きを誘って、少し栄えた街にお金を稼ぎに出かけていく。
(感想)
毎日食べるためのお金が欲しい、と貧民街の子供たちは生きていくために、物乞いをしたり盗みを働いたりしている。
ブランカもその一人だけれど、他の子のように使ってしまわず、少しずつお金を貯めているようだった。
“母親を買えばいいんだ!”
テレビで見た女優とその子供の様子で具体的に思いついたようだったけれど、それ以前からお金を貯めていた様子を見ると、前々から募る思いがあったのかと思うと胸が痛い。
大人たちには母親を買うなんて、と窘められる。
そんな大人たちにブランカは一言、
「どうして大人は子どもを買えるのに、
子どもは大人を買っちゃいけないの?」
他の子供たちからは、家族なんていない方がいい、と馬鹿にされるけれど、それでも自分を愛してくれる母親が欲しい。
母親なら無条件に自分を愛してくれる。
そんな思いでいっぱいのブランカだったけれど、お金稼ぎのために連れて行った盲目のギター弾き、ピーターと日々を過ごす中で、初めて家族のような温かさを感じる。
お金を求めたり、同じ境遇の子どもたちと一緒に過ごしたり、安全な孤児院に入ったりと点々とするブランカ。
けれどブランカが欲しかったのは、「母親」でも「お金」でも「住む場所」でもなく、自分を愛してくれる、ずっとそばにいてくれる“家族”だったんだなあ、と思う。
ブランカの歌とピーターのギターがとても温かくて、2人の絆を表しているようだった。