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舞踏会のあとの入浴のすえのレビュー・感想・評価

舞踏会のあとの入浴(1897年製作の映画)
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記録

世界初のポルノ的な作品だとされている。水を砂で代用していて黒澤的な発想のように見えるが、実は別の要因で結果的にそうなっただけである。水を砂で代用したわけはズバリ、単に女優が水が冷たいからと嫌がったからだけらしい。

ここに、映画としての性的フェティシズムの萌芽のようなものを感じ取れる、映画黎明期からその虚像をフェティッシュとして我々は去勢恐怖から逃れようとしていたのではないか。ここでは、あくまで性器の描写は避けられ、背中がフェティッシュとして機能している。女性の背部が(不在の)ペニスの代わりとなるのだ。

ちなみに、世界初のハードコアポルノとして1907年アルゼンチンの『El satario』が挙げられるが、1930年にキューバで撮られたともいわれており、正確なところはよく分からない。

P.S.『El satario』を鑑賞してみたが、かなり凄かった。直接に性行為を描写しているし、性器も写している。正直ここまでのものだと、1930年にキューバで撮られた説が有力なのではないかと思う。グリフィスが『ドリーの冒険』を撮る前にこれを撮ることが可能なのかと疑わしい、映画的な運動性も高いし、活劇性もある、映像には瑞々しさまで。性行為という、ある種の一貫したアクションを別な視点(違う位置のカメラ)で撮ることが果たして、『ドリーの冒険』以前に可能なのだろか、もし1907年に撮られたとするならば、グリフィス以前に映画的表現を発見していたことになり、とんでもない才能だといえる。いや多分不可能だったはずだ、これほどの映像は撮れない、1930年キューバ説を推します。

2024,短編50本目 5/16
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