つるみん

サブウェイのつるみんのレビュー・感想・評価

サブウェイ(1984年製作の映画)
3.7
【仏生まれの異端児が描くもの】

フランスを代表する映画監督リュック・ベッソンの原点となる作品。

彼の出世作であり代表作というと〝グランブルー〟〝ニキータ〟〝レオン〟などがまず頭に浮かぶ。そこには共通して湿り気のある錆びた映像と真の愛を貫く主人公が存在する。これが彼の特徴と言うのであれば本作の〝サブウェイ〟にも十分通ずるものがあった。

まず冒頭のカーアクションシーン。
それは後の〝TAXi〟や〝トランスポーター〟同様、迫力のある場面となっていて一瞬にして引き込まれる。これもリュック・ベッソンの原点要素となるであろう。


ここで内容説明になるが大富豪の人妻に招かれたパーティーで重要書類を盗み出した男が本作の主人公であり、逃亡し地下鉄構内に隠れ、そこで出会う様々な人と交流するヒューマンドラマになっている。

先に述べたように〝真の愛〟を描く彼の卓越した技量はまさに職人技である。男と女の関係に常に対比関係を持たせる事により生まれる〝愛の形〟の表現に我々は魅了され、切ないシナリオで心が痛む。(やはり印象的なのはレオンとマチルダ)

本作も金はないが自信に満ち溢れ、どんなものでも敢然と立ち向かう金髪のフレッド。一方、裕福であるが縛りがあり決して幸せとはいえないエレナ。彼らが惹かれあった理由はお互いの相違点。これがリュック・ベッソンが描く〝愛の形〟というものである。

このように後にフランスを代表する映画監督になる彼の行程はすでに確立してあったのだ。
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