森の中でスタッフたちが映画の撮影をしている。男と女が何かから逃げるように森の中を疾走する。様々な角度から、何度も何度も似たような映像を捉える。それを撮るカメラを、スタッフを捉える。
MVの撮影も兼ねていたらしい。合間で3回程、絶望的にダサい（主観）歌と踊りを見せられる。歌手なのであろうその女がスクリーンに映るたびに僕の心がため息をついた。本当に見たくない、キツいっす。という感じだった。
映画撮影の方も、逃げるように走る女が絶妙にエロいうめき声をあげながら走っていて嫌だったし、何度も転ける（しかもその度に喘ぐ）ので、コノヤロウ立てと思いながら見ていた。
それはさておき、アピチャッポン自身が捉えていたのであろうその光景は、僕の目にはアイロニーのように映った。
アピチャッポンがこれを僕らに見せたがるのも分かる気がする。
意図的に滑稽な描写を捉えているとしか思えないいくつもの断片。
アピチャッポンのカメラに映されるスタッフたちは、かなり自然な会話を交わしていた。
どこそこに就職した方がいいぜとか、申年だから天敵の寅模様の服を着てるんだとか。MVの撮影中に立ちションしている奴もいた。
全体的に面白くなかったし、もう一度見たいかと問われればもう見たくはないが、これを一度見せられた事自体は、思い返す上ではまぁいいのかもしれないなと感じた。
