ぽち

ランジュ氏の犯罪のぽちのレビュー・感想・評価

ランジュ氏の犯罪(1936年製作の映画)
2.1
制作年代を考慮に入れ、映画の歴史の一ページを見るつもりで鑑賞する作品。

確かに作られて86年も経ってまだ普通に観る事が出来るというだけでも完成度の高さが伺えるのだが、では今でも楽しめるかというと微妙。

定番ではなく当たり前とでもいうストーリー。当時は新鮮だったかもしれないが、さすがにあまりに平たんで当たり前すぎる内容なのが致命的。

舞台的なオーバーアクトにつながりの悪い演出、編集。全員揃ってのバカ騒ぎも、酔った大家のシーンもダラダラと長くてしつこくて辟易する。

国境を越えて逃げなくてはいけなくなるシチュエーションに無理がある。宿でフラッシュバックを使うために無理やり逃げさせている。普通なら逃げるより正当防衛を主張するとか、通り魔のせいにするとか、もっと簡単に知らん顔しちゃった方がかなりリスクが少ない。

映画ファンが資料として見る作品だろう。


余談。
意見の分かれる所だが、ノワールということを除外してみると、この倫理観でイイの?と疑問が残る。

性格が悪く女癖も悪い。詐欺師と呼ばれても仕方ないぐらいのいい加減さ。神父の服を奪う窃盗。
確かにお友達にはなりたくない奴だが、これが死に値する悪行か?

主人公たちが隣国に逃げおおせてハッピーエンドではあまりに底が浅いと思うのだが、まぁ86年前じゃしょうがないのか・・・・・
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