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ランジュ氏の犯罪のzhenli13のレビュー・感想・評価

ランジュ氏の犯罪(1936年製作の映画)
3.8
近所の人々が寄ってたかってワイワイやってる感じがとても好い。石畳の狭い小路の建物の中にある階段を上り下りする様子を外から映したりして、がちゃがちゃした空間をみせてくれる。それとトランジションがちょっと凝ってて、前のカットが破かれるようなアニメーションを使ったりしてる。

死んだはずの出版社の悪徳社長が神父に化けて戻ってくるの『狩人の夜』のロバート・ミッチャムを思い出す。実際神父の黒い服と帽子から出た社長の顔が白く不気味に見えるように撮られてる。

いつもながら道徳観がまるごと抜けている。
洗濯屋の少女は悪徳社長に手籠にされ妊娠してしまう。それを知った恋人は一笑に付し「奴は死んだ。僕は君が好きだ」彼女の死産を知ったとたん彼は大いに悲しみ、そのそばで社長の従兄弟が「親戚ができると思ったのに」と落胆している近所の皆を笑わせる。
このくだり最高。字幕は寺尾次郎だった。
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