Ryoma

ランジュ氏の犯罪のRyomaのレビュー・感想・評価

ランジュ氏の犯罪(1936年製作の映画)
4.1
小さな町工場で働くランジュ氏のどこまでも真摯で誠実な人柄とは対照的に描かれる、その工場の社長であるバタラ氏の性根が腐った平気で嘘をつく飄々とした人柄。後半にて納得する邦題の意味。権力者がすべてを支配し牛耳る世間や社会への風刺・警鐘のメッセージを感じた。
人生とは皮肉なもので、どれだけ真面目に一生懸命に生きようが、報われないこともしばしばで、それは、自分の力というより寧ろ、権力者などの社会的に力を持った人によることの方が多いようにも感じることが多々あって、それを踏まえると、よりいっそう刺さるものがあった。
ルノワール監督の、画家の血筋ならではの写真や絵の遊び心ある使い方あるいは映像への組み込み方・手法を感じる場面もあって、だいぶ昔の作品ではあるが、楽しめた。
Ryoma

Ryoma