あでゆ

日本で一番悪い奴らのあでゆのレビュー・感想・評価

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)
3.1
◆Story
柔道で鍛えた力を買われて、北海道警察の刑事になった諸星要一。裏社会に入り込んでS(スパイ)をつくれという、敏腕刑事・村井の助言に従い、Sを率いて「正義の味方、悪を絶つ」の信念のもと規格外の捜査に乗り出す。

◆Infomation
『凶悪』などの白石和彌監督と『新宿スワン』などの綾野剛がタッグを組んだ、日本の警察における不祥事をモチーフにした作品。2002年に覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕され“黒い警部”と呼ばれた北海道警察の警部の、逮捕までの26年間が描かれる。脚本は『任侠ヘルパー』などの池上純哉、音楽を『八日目の蝉』などの安川午朗が担当。白石監督の演出と、劇中で体重を10キロ増減させ衝撃的な実話に挑んだ綾野の壮絶な演技に引き込まれる。

◆Review
『凶悪』、『孤狼の血』と白石和彌作品はハマることが多かったのだが、本作に限って言えばかなりイマイチな一本だった。
全体的なトーンがかなりコメディに振っていてあまり緊張感がないし、綾野剛演じる諸星のキャラクター性も真には悪に振り切っていないため、期待していた暴力性からは程遠い。
本作は実際に起きた事件をモチーフにしており、その事件自体がコミカルと取れるための本作の方向性のため、判断としては全く間違っていないのだが、期待していたところからは離れてしまっていた形だ。

また、この手の警官汚職もの作品のカタルシスを得られるであろう「悪に堕ちる」場面もピエール瀧の一言で一瞬で済まされてしまうので、見たいところが見れないというフラストレーションも溜まってしまった。
中村獅童演じる黒岩と仲を深めていくシーンもすぐに済まされてしまい、警官とヤクザというともすれば一触即発となる関係性も、なぜかこの二人に関しては強固な信頼関係によって結ばれてしまっていたのが不満に感じた。
加えて、デニスの植野行雄がパキスタン人を演じるのだが、演技力は非常に高いものの、本人の背景を知りすぎてしまいノイズになっていた。

コメディーとして見た時には特に警察の会議中のやりとりをはじめ、非常にシニカルに笑える場面は多くあるし、ちょこちょこ入ってくる性の描写などは流石なのだが、やはり見たいのものを見ることができなかったという点に関してはマイナスの評価となった。
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