北海道警察に拾われた1人の柔道青年が成り上がり、そして破滅していく様は時に軽妙、時に重厚で、劇場に文字通り笑いと哀しみをもたらしていた。
特にS(スパイ)として手を組む、中村獅童、デニス植野、そしてYOUNG DAIS(綾野剛と並んで今作の個人的ベストアクトの1人)との掛け合いはキラキラしていて、さながら青春映画のよう。
道警のため、その一心で行動がどんどんエスカレートしていく主人公、諸星があまりにメチャクチャなのにどこか憎めないのは、ひとえに綾野剛の演技の賜物だろう。スターなのにカメレオン。底がしれない俳優。
実話を基にしたフィクションの体で警察の組織犯罪を告発する試み。そしてこれを見事なまでに(真っ黒な)エンタテインメントとして昇華させた白石監督や、キャスト陣に拍手を送りたい。