邦画でもその気になれば面白いピカレスクを作れることをはっきり示してくれた。
安っぽい四つ打ちのBGM、ベタなタイトルの出し方、序盤のスコセッシ張りのスピーディなシーンの繋ぎ、デフォルメされた仰々しさで演じられるキャラクターたち。実録物と思って観るとその嘘臭さに最初は戸惑ったものの、戯画化されたブラックコメディに一旦慣れてくると、確信犯的な構成に引き込まれた。タバコの扱いで主人公の成長を表すのはわざとらしいけれど、この映画に限っては効果的だった。どこまで戯画化しても、事件そのものの異常さには敵わないという自信があってのことだと思う。
とはいえ、女性キャラの扱いは明らかに雑。