アニマル泉

現代好色伝/テロルの季節のアニマル泉のレビュー・感想・評価

現代好色伝/テロルの季節(1969年製作の映画)
4.2
沖縄返還をめぐる佐藤首相訪米を爆弾テロで阻止する若松孝二のクライム・フィクション。脚本は小水ガイラ。
フルート、チェロ、ドラムが響く。パートカラーで日米の国旗と3Pセックスにミッシェル・ルグランみたいな叙情的な劇伴奏と女の喘ぎ声が重なる。
電灯に仕組まれた盗聴器ごしの俯瞰ロングショットが基調となる。ベッドシーンは蚊帳ごしのロングショットだ。
団地の無機質、匿名、セックスが強調される。階段の昇降を律儀にワンカットで撮るのが面白い。
吉沢健、江島裕子、佐原知美、3人の不思議な生活を二人の公安刑事(今泉洋 神田満)が張り込んでいる。しかし日常が単調に反復されるだけだ。食事、セックス、風呂がひたすら繰り返される。若松は音の処理が面白い。オフサウンドを多用する。
吉沢健が遂に動く場面、じっと佐藤総理訪米の新聞を見てから動くのが印象的だ。羽田空港への首都高の移動風景が長い。そして爆破テロ。
本作は「空」が印象的だ。
吉沢健が見る映画は海、波打ち際の情事が描かれる、若松作品だろうか?
白黒シネスコ・パートカラー。
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