すず

世界の涯ての鼓動のすずのレビュー・感想・評価

世界の涯ての鼓動(2017年製作の映画)
3.5
初期の人生をさすらっていたヴェンダース監督の現在地は、とても社会派な作品。あまりに下手なことも言えないけど、最も純粋な部分では、どうして人間はいつまでもこんなことを繰り返しているのかなと悲しくなる。そう考えると同時に、自分らの置かれている状況は無条件に恵まれているものなんだと自覚しなきゃいけない。劇中でアリシアが言った言葉が大多数の代弁であると思う。「難しい問題。私たちには何もできない。」この作品は問題のその先へ思考を促し、無関係だと思っていた我々に当事者意識を与えようとするものであった。『世界の涯ての鼓動』か。想像とは随分違った作品だったけど、らしさも踏襲した良い邦題だと思う。人間の名前には尊厳があると思った。その人の名前を呼ぶことは愛だ。
すず

すず