2016年公開
監督:宮元宏彰
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海賊王を目指す一味が寄港した大カジノ船で起こる、策謀と騙し合いのお話。
富みへの執着とそれの乗り越え方のお話。連載漫画もののアニメ映画が最も個性を込めるのは「悪役」のあり方で、今回の狂気の大富豪は、過去自分がもっと忌み嫌ったものに自分が成り果てているという皮肉に満ちた存在なわけです。奴隷にされ、金持ちに侮蔑され、その忌まわしい過去を「自分もそういう存在に、それ以上の水準でなる」ことで克服しようとするわけだけど、哀しいわけですよ。この海賊マンガが子どもに受け入れられるのが、その悪役のテーゼを、主人公が己の葛藤や過去の心の傷と照らし合わせながら苦悩しながら云々、みたいなことを一切すっ飛ばして、圧倒的なイノセンスでワンパン解決みたいな清々しさがあるからだと思うんだけど、その分、悪役がどう昇華されるのかは、他のキャラクターが背負わないといけなくて、人物相関図がカオスな拡がり方になるのは、主人公をイノセンスのまま保つためだったりするのかもなあと思ってます。ある意味、一番分かってない人が主人公っていう構造は面白いというか。
エンタテイメンツ、をセリフで連発してますが、娯楽映画としてはまさにさすがだなという出来だと思ったわけで。大人的にはだまし合いをもっと巧妙にやったらなおよし。
2017年3月1日