深作欣二版「現金に体を張れ!」
暴力団と警察の連合体を一匹狼、北大路欣也が無茶苦茶にしていく。
「仁義」と壁に書かれた組事務所で、だましあいが行われたり、人を貶めたる皮肉に痺れる。
組織や女、賭博、家族など、背負うものがある人は最終的にそこにつけ込まれたり、執着して死んでいく。
しかし、主人公に背負うものはほとんどなく無敵の人状態。
「大金」という欲望をめぐって、人や感情がうずまく。
無駄なシーンはほとんどなく、画面いっぱいに感情が表れ、ドカンドカン爆発し、パンパン撃たれ、ちょっとお色気を交えながら、テンポよく進行し、「あぁ、面白かった」というあっさりとした感情が残る。
これぞ、邦画伝統の娯楽映画。
防犯カメラや電子決済の導入が進む昨今。
こうした映画も今や作りづらい世の中なのだろう。
生きている手触りがどんどん人間から離れていくのを切に感じた。
ゆえに70年代の実録映画のダイナミズムが面白い。