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BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアントの東京キネマのレビュー・感想・評価

4.5
ロアルド・ダールの世界観にズッポリ浸れる素晴らしい作品でした。

同名の原作は1982年ですが、邦訳は『オ・ヤサシ巨人 BFG』というタイトルで1985年に出版されています。 未読なので完全に推測なんですが、ロアルド・ダールであれば児童文学だからとセーブすることなく、ちょっとヤバい表現もやってしまうだろうことを考えると、随分中和されてしまったような気もしますが、まあ今時の環境では致し方ないのでしょう。

特典映像でもちょっと触れてましたが、ロアルド・ダール原作の映画化の話はディズニーが最初で、それもあってディズニーとロアルド・ダールは非常に懇意にしていたそうです。 そう言えば、初期のディズニーもダーク・ファンタジーやブラック・ユーモアを扱った短編が沢山あって、ロアルド・ダールの世界観にとても近かったですからね。 小さい頃に観た『グーフィーの自動車狂時代』など、今でも強烈な記憶が残っています。(ちょっとYouTubeで探したら、『グーフィーの車大好き』になってました。 もう本当に最近のポリコレはヒドイなあ・・・)

ということで本作の話に戻しますと、成功の要因はスピルバーグの映画には珍しくクリーチャー・デザインが素晴らしいこと。 というより、これマーク・ライランスの表情キャプチャーですから、CGデザインというより彼の顔芸が凄かったということなんでがね・・・。

それと、プロット上の「夢」の位置付けが良いんですね。「夢」は探さなければ手に入らない、しかしそう簡単に「夢」は手に入るもんじゃない、苦労して「夢」を掴むんだ、ということなんです。 それにBFGは「夢」をドクター・バックに入れて持って歩くんですよ。 つまりね、「夢=薬」なんですね。 このセンスも素晴らしいです。

要するにこの映画、技術的な問題で30年以上待たなければ創れなかったということなんですが、その価値は十分にあったと思います。 子供と一緒に観る映画でしたら最高の一本です。 オススメしますよ。
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