白石晃士監督ファンの目線でいくと、貞子と佳椰子という「近代Ｊホラー２大アイコン使いという超大ネタ」and「初のメジャー資本」という大きな制約の中でいかに白石イズムを発揮できるかというところが注目だった。不安もあった。
序盤まではリングと呪怨の基本の流れを踏襲しながら、しっかり奴らの怖さとおぞましさを存分に発揮しながらスピーディに展開していく。そして中盤、主人公を救うべく傍若無人な（NEO的な）霊能力者コンビが現れてからは一気に白石メソッドがジャパニーズホラーの世界観に侵食。そのカタルシスたるや、思わず心の中でカッツポーズ。
そして終盤、２大アイコンの激突からのまさかの意外なラスト。しかしよくよく考えてみれば終わりはこれしかないんじゃねぇか！？という納得のラスト。総合的には貞子と佳椰子の魅力を削ぐことなく白石監督らしさも十分にからませて、且つ王道の作品に仕上がっていた。いや、本当に面白かった。白石監督、メジャー（がんじがらめの環境）でも存分にその力を発揮できるという事実が嬉しかった。
ただどうしても、貞子と佳椰子という２大看板が足かせになり「コワすぎ！」や「オカルト」のように宇宙の彼方にブっ飛ばされるような破壊的な展開はなく、それらと比べてしまえば無難といえば無難な仕上がりだ。
今後は白石監督が全てコントロール出来る状態の中、メジャーの資本をたっぷりと使った完全オリジナルの映画を観てみたい。さらに夢は広がった。そしてガッポリと儲けてほしい。
